もし、死がなかったら
NHKスペシャル「遺伝子」を見た。
その中で、生命の設計図である遺伝子の中には死というものがあらかじめプログラムされているということが述べられたところは圧巻だった。
はるか遠い昔、生命の進化の課程で、遺伝子の新しい組み合わせの可能性と引換えに、細胞分裂の回数が限定されることとなった。
つまり、生命が進化するため、生物は限られた寿命というものを選び取ったのだ、という説明には、驚きを禁じ得なかった。
それは
「生きているということはとりもなおさず、老いることであり、病むことであり、そして必然的に死に導かれるものなのだ」
ということ。
これは2500年前にお釈迦様が言われた事である。
同じことが最先端の生命科学の言葉によって語られたのであった。
日本列島という陸地の輪郭は、陸地自身ではなく、海によって決定される。
同様に、生の姿は生自体ではなくて、死によって初めてくっきりとその輪郭を描き出されるものなのではないか、そんなことが思われる。
もしも死がなかったら、生まれたばかりの赤ん坊をあんなに優しく大切に抱こうとするだろうか。
我々のいのちが死を前提にしているからこそ、やさしさや慈悲というものが、心の奥底から湧きだしてくるものであるに違いない。
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