号泣必至!!超泣ける話200話超デラックス

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*

顔も知らない父

   

自分は父の顔を知らない。

自分が2歳の頃、交通事故で死んだそうだ。

母に
「お父さんの名前、なんて―の?」
「お父さんの写真、見して!」
「お父さん、メガネかけてたの?」

とか聞いても、黙って首を振るだけだった。

父がいない分、母は毎日朝早くから遅くまで仕事をしていた。

酷いときには、1週間母を見ない日だってあったのだ。

そんな時、面倒を見てくれたのが祖父母。

誕生日もクリスマスも、祖父母と一緒。

母とは土日に外出するくらいで、正直何を話したら良いのか全然わからなかった。

小学校のときは
「お母さんはカッコよくて、頭が良くて、仕事もすごい出来るんだ」
と、よく自慢していた。

でも、本当はそんな自慢なんていらなかった。

母とちゃんと話がしてみたかった。

そんな時、いつも思うのが死んだ父。

父がいたら、母とも毎日話せた。

父がいたら、母がこんなに仕事をすることもなかった。

父がいたら、父がいたら、父がいたら…

そんな思いがひたすら溢れた。

祖父母は大好きだ。

文字の書き方からきゅうりの切り方まで全部教えてくれた。

それでも、やっぱり…

母は父のことを教えてくれないだろう。
絶対に。

そんな小学生時代に終止符を打つように、母の再婚が持ち上がった。

小学校の卒業と同時に、県外に引っ越し、新しい父と母との3人で暮らすということだった。

実際、自分は本気で祖父母の所に残ることを考えた。

小学校の友達と離れるのは辛い。

でも、それ以上に祖父母と離れるのが嫌だった。

それでも、母の涙に折れて引っ越すことになった。

その時はまだ知らなかった。

母のお腹には新しい父との子供がいた。

新しい父は妹が産まれるまでは優しかった。

しかし、妹が産まれた途端、がらりと変わってしまった。

理不尽な怒り方ばかりしかしない。

母の前では優しいのだ。

なのに、母がいないと口調も変わる。

それは2年経った今でもちっとも変わらない。

どうしようもなく、辛くなっても話せる人がいなかった。

先週、祖父母を訪ねたときに今まで教えてくれなかった父の墓を聞いた。

全てを話すと、祖父母はこっちに引っ越して来いと言ってくれた。

でも、それは出来ない。

母にもその事実を話さなくてはいけない。

母はきっと悲しむ。

今まで、母親らしいことをしてくれなかった母でも、母が悲しむのは見たくない。

そして今日。

祖父母から父の命日だと聞いていた日。

学校を休んで亡き父に会いに行きました。

父の墓は綺麗に掃除されていて、花も供えてありました。

「お父さん、自分はもうすぐ高校受験です。

 今まで会いに来れなくてごめんなさい。

 お父さんの顔は分からないけど、辛い時にはここに来ます。」

本当に父に会いたいと思った。

 - 父の泣ける話

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