俺には二つ下の病弱な妹がいる
俺には二つ下の病弱な妹がいる。
妹は腎臓の病気を患っているため幼い頃から入退院を繰り返していた。
俺は病弱故に両親の関心を独り占めする妹を嫌って辛く当たっていたが、
ある時(小学校高学年)、妹を自分が守らなければならないか弱い女性という事に気がつき、
精神的な自立を果たして妹を全力で守るようになる。
そんな俺に妹は心を開いてくれ、俺の傍に居るために、小学校を卒業できないだろうと言われていた命を永らえて高校入学を果たす。
しかしそんな日々が数ヶ月続いたとき、俺は衝撃的な事実を知る。
少しずつ回復していくように見えた妹があと半年後には確実に死ぬと言うのだ。
どうしようもない現実に思い悩みながらも俺は妹が死ぬまでの半年間で、己の全てを彼女のために使おうと決意。
大学を休学して恋人と別れ、今まで以上に妹の病室を訪れて彼女との時間を作るようになる。
一度は退院できたものの妹の容態がさらに悪化して再入院。
今度はもうダメかもしれないと言われていた時に、彼女はひょっこり家へ帰ってくる。
そして
「海に行きたい」
と言う。
次の日、信じられないくらい元気な妹と海へ行くが、彼女は自宅に帰ってくるなり倒れてしまう。
そして、そのまま寝たきりになり息を引きとった。
後日、彼女の日記を見ていくと妹が帰ってきた日の日記には、明日海に行くのが
楽しみでしょうがない感じで色々と書き綴ってあった。
そして次の日の日記に
「今日、海を見た。もう怖くない。」
これだけしか書いてない。
俺は泣いた。
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