大切な妹
大学生の妹の様子がおかしな時期があった。
精神的な病気の一種らしく、家族中で一時期どう扱っていいか分からず混乱していた。
ある時、いきなり家をパジャマ姿で外に出て行き、妹はごみの収集場所まで来て
妹「どうしてごみ袋があるの?」
少しぼ~っとしながら両親に任せられついて来た俺に聞いてきた
俺「明日、ごみの日だからだよ」
力ずくで連れて行くと大暴れするのはもう分かっていたから、 なるべく妹の会話に合わせながらどうやって家まで誘導しようかと考えてると、
妹「あたしもいらないからあそこにいけばいいんだね」
俺「…へ?」
俺には一瞬何を言ったのか分からなかった。
そんな俺を置いてとぼとぼ収集所に行こうとする妹。
俺「ちょっと待って!」
俺はとっさに妹を後ろから抱きしめるように止めた。
急な行動だったからか、妹は地面にすとんと座り込んだ。
妹「どうしたの?今日出しとかないと間に合わないよ」
不思議そうに振り返って俺を見る妹は、何故か優しそうに笑ってた。
俺「……なんで」
妹「あたし早起き苦手だもん」
どうしていいかわからない。
俺は仕事で全然構ってやれなかった妹がこんな状態にまでなっているとは思ってもいなかった。
俺「行っちゃダメだ。俺は…みんな、○○が大好きなんだから…」
どう説得しようか考えても上手く言葉を紡げない俺は、ただ涙が溢れさせ、そう言うのが精一杯だった。
妹「あたしもみんな大好き。……おにいちゃん泣いてる?」
優しい笑顔で泣いている俺の頭を妹は撫でてきた。
妹「ちょっとさむいね」
俺「…うん。だから早く家に帰ろ」
俺は妹ともう十何年かぶりに手を繋いで家に戻った。
それから二年。
カウンセリングが整った病院に通ってはいるものの、今ではすっかり傍若無人な妹に戻っている。
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