娘が作ったお弁当
午前3時、実家から電話。急いで来て欲しいと母。
行ってみると癌を患っていた父が冷たくなっていた。
おろおろする母を一人にはできず、急いであちこちに連絡。
「そういえば今日は息子の遠足の日だ・・・どうしよう・・・」
当時4歳の息子、バタバタしている最中なので遠足に行かせてしまおうと思ったが、遠足の弁当を作っている時間がない。それでもあせって自宅に帰ったら、中一の娘が
遠足の弁当を作ってくれていた。普段はカップラーメンぐらいしか作らないのに。
ごはんにふりかけをかけて、ウインナーや卵焼き、ほうれん草のおひたしetc…
「ありがとう・・・」ジンときたよ。
その弁当を持って息子は遠足に。
私は葬儀の手配など忙しく動き回っていた。夕方保育園まで息子を迎えに行って、お弁当箱を開けてみるとキレイに食べてあったが、ほうれん草のおひたしだけが残っていた。ほうれん草スキなのに。
「コノホウレンソウ、辛カッタ・・・」
食べてみるとそれは大量のカラシナの漬物だった・・・。
・・・でも、娘よ、ありがとね。
関連記事
-
置き手紙
朝、出かけにお兄ちゃんに、置き手紙ををした。
「お兄ちゃん、お鍋にお豆がひたしてあります。
それを煮て、今晩のおかずにしなさい。お豆がやわらかくなったら、
おしょう油を少し入れなさい。」その日も一…
-
おばあちゃんへ
おばあちゃん、最後に会いたかったなぁ。
私のおばあちゃんは誰もが信じられないくらい、あっという間に亡くなってしまいました。
私はちょうど、娘の扁桃摘出の手術の為に病院で寝泊まりをしていました。
…
-
親が子供を
母の葬式の時、祖母(母の実母)は
「親が子供を送ってはいけないんだよ」
と言って、斎場から火葬場への車に決して乗ろうとしなかった。俺は子供ながらにも疑問に感じ、
「何で?何で?」
と泣きながら何度…
-
兄が交通事故で亡くなりました
スレ違いな話になってしまいますが、報告させて下さい。
前スレで、父が家を出た後、優秀だった兄が中学卒業後、
鳶職として家計を支えてくれた話を書いた者です。
その兄が、先週、火曜日に交通事故で亡く…
-
ありがとう、ありがとう
もう、すごく昔の話。
小学2年のとき父が交通事故で逝ってしまったので、
弁当がそれからしばらく白飯に梅干とか漬物とか
そんなんばっかりだったときがあった。
でも子供ながら事情はなんとなくわかっていたの…
-
じいちゃんの夢
じいちゃんが死んだ。
じいちゃんは死ぬまでバイクに乗り続けた。若い頃は無免で乗りまくってたらしい。
昔からバイクの話をよく聞かされた。無免時代は125ccのバイクで70キロくらいで牛にぶつかっ…
-
腹の虫
当時、学校の土曜日授業は午前中までだったので
お昼ゴハンは家で食べるのが常でした。
いつもの土曜日、元気よく俺が帰ると
土曜日は居るはずの母さんが居ませんでした。
どうやら出掛けたのでしょうか、俺はマ…
-
心に残る思い出、何もなし
小中学校の卒業文集にさえ
「心に残る思い出、何もなし」と書いた私。
人並みの生活を送ることさえ出来ず、夢と希望は常に打ち砕かれ、
ただ目の前の出来事を受け入れることに専念した。
世の中に失望していたわ…
-
カマボコ
私が小学1年生の時に事故で両親が死に、それ以来おじいちゃんと2人で暮らしていた。
おじいちゃんは料理などできなかったけれど、私のために毎日質素ながらご飯を作ってくれた。
ご飯と納豆、とかご飯と缶詰め、…
-
ばあちゃんちにあるものなんでもお食べ
先月、祖母が亡くなりました。89歳でした。
孫の中では私が一番年下なせいか(父が末っ子)、いつも私は「小さい子」扱いで可愛がってもらってました。
「○ちゃん、お腹空いてない?おやつあるよ、羊羹もき…