土手の向こう
幼稚園の頃、お盆で鹿児島の田舎に親と帰った時の話。
山の奥にじいちゃんが耕している畑があって、そこに親戚たちと手伝いに行った。
親戚達が畑仕事をする中、俺はぶらぶら遊んでいたんだけど、畑の奥にちょっとした土手があるのを見つけた。
向こうに何があるのか見たくて背伸びしていたら、近くにいた親戚?の女性がだっこしてくれた。
そこからの景色は、眼下に平地が広がっていてはるか彼方に海が見えていた・・・
20年後、久方ぶりにじいちゃん達の墓参りのため田舎を訪れた。
つい懐かしくなり、まだ残っているという山の中の畑に行ってみた。
畑は荒れていたけど、懐かしいじいちゃんの畑だった。
奥の土手まで行って妙な事に気が付いた。
もうだっこされなくても土手の向こうが見えるのだが、
目の前にはただ大きな山がうっそうとそびえているだけだったのだ。
そういえば田舎は川内市の山奥で海など見えないの所だった。
あの海とあの女性は一体何だったんだろう?
関連記事
-
団地のエレベーター
17,8年前の話。
中学生の分際で朝刊を配る新聞配達のバイトしてたんだけど、
その時に配達を任されてた場所が、大きな団地1棟とその周りだけだった。
その大きな団地で起きた体験なんだけど・・・
その大…
-
女性が横たわっていた
現役の救急隊員です。
以前本当にあった話です。某所にて交通事故との119番通報。
俺と隊長と機関員(運転手)とで現場に出場しました。
到着してみると、当事者と思われる車と運転手。それに路上にははね…
-
白い傘と白い服
友人と遊んだ後、雨降ってるし時間も遅いからって友人を家に送った帰り、今週のマンガ読んでないなと思いだしてコンビニへ行った店内に客は自分だけ。
一冊目を手にとってふと顔をあげると、コンビニの前の道を白…
-
モニターに写る女
コンビニで夜勤のアルバイトをしていたときの話。
入って3ヶ月くらいのある晩、同じ夜勤の人間でその日は深夜1時に上がる予定だった先輩が
「今日は明け方まで残ってもいいかな?」と私に訊いてきた。…
-
祖母の遺産
20年くらい前の話。田舎で祖母が死亡した時のこと。
母方の実家は地元では名士で、医者でも教師でもないのに「先生」とまわりから祖父は言われていた。
そういう人なので、あちこちに愛人をつくったり結婚離婚…
-
ちょっと遠くの銭湯
貧乏なアパート暮らしの女です。
風呂が無いので銭湯に行ってる。いつもの店が休みだったから、ちょっと遠くの銭湯に行った。
浴室には数人のオバちゃんがいて、楽しそうに話し合ってた。
洗髪してると視線を…
-
弟と電話
10年くらい前、家の居間で家族みんなでテレビをみていた。晩御飯食べたあとだから八時頃か。
当時小学生だった弟が急に立ちあがり、電話に向って歩き始めた。
弟は自分から誰かに電話するようなことはまずなかっ…
-
家のドア
ある男性がいた(以下Aとする。)
AにはB子という彼女がいて、とても仲のいいカップルだった。
ある日の夜、AにB子から電話があった。
「ねぇ、Aの家に行っていい?」
「いいよ。何分ぐらいで着く?」
「…
-
タクシー運転手の話
『タクシー運転手の話』ジュニア千原
深夜の2時ぐらいに神戸を走っていると、女性が1人で立っていて、手上げてるんです。
その場所というのが、夜中に人なんか絶対立っているよな場所じゃないところで・・・
…
-
エスカレーターの中の母娘
とある、ヨーロッパの国に留学してた時の話を。
まぁ言葉もままなら無い頃、よく日本人の友達を家に呼んで飲んでたんだが。
俺の家は屋根裏で、大き目の丸窓から地下鉄の出口が見える。
エスカレーターだけで…