恐怖!!絶対見てはいけない!!本当にあった怖い話200話超デラックス

恐怖!!絶対見てはいけない!!本当にあった怖い話200話超デラックス

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行ってはならない寺

   

叔母が癌で入院した祖父(叔母の父)の介護の為に通院してた頃、昭和の昔の話。

祖父の病院は、実家から少し遠い田舎の古い市立病院で、先の短い年寄りが多く入院していた。
まるで姥捨て山的な趣きで、毎日間引かれるように年寄りが死に行くようなところだったとか。
それでも叔母は家計を支えていた祖母(叔母の母)に代わり、祖父のもとへ足しげく通い、 自分を育ててくれた祖父への恩返しのつもりか、懸命に介護した。

病院の治療は祖父の老い先を知ってか、或いは年寄りへは誰でもそうなのか、形だけのもので、治療とは名ばかりの薬漬けの延命の中、それでも中には懸命に介護してくれる看護婦らがいた。
中でもとある老看護婦は、まるで職務を超えて祖父に尽くすかのように、日夜とても良くしてくれたのだとか。

祖父もいよいよダメかと言うある秋の日、老看護婦は祖父のお世話をしながら叔母に、
「佐藤(うちの苗字)さんは、佐藤家(地元の侍筋)ゆかりのお家でしょう?」と唐突に言われた。
祖父は教師で普通の家庭で育ってはいたが、何となくそう言う話を聞いていた叔母は驚き、
「何故分かったのですか?」と聞き返した。

老看護婦ははぐらかしたが、祖父の世話も終わり部屋を出て行く際に、叔母の目を真っ直ぐに見つめ、
「あなたは今後、鈴木家ゆかりの方と一緒になられるでしょう。
 でも絶対に○○寺に行ってはいけません。生涯行ってはいけません。行くと命を取られますよ」
的な意味深な言葉を残して去った。
○○寺は、家臣に反逆され謀殺された某武将が奉られている、地元じゃそこそこ有名な観光スポット。
でもそう言われれば、うちは何故か行ったことないなあと、叔母も不思議がった。

程なくして祖父他界。遺体を引き取り、医師医療スタッフさんに礼をいい病院を後にした。
残念ながら、件の老看護婦に会えず仕舞だったが。

祖父の死から数年が立ち、叔母は見合いで嫁へ行った。嫁入り先は山田家。
鈴木さん(地元の名士)じゃないのか、と残念ながらも少しホッとした叔母。
ところが結婚式に、鈴木家からの祝電と、本家筋ではないにしろ、鈴木家の方々が新郎山田さんの親族として列席された。
その際に改めて山田夫に確認したのだが、山田家は鈴木家の分家で、未だに親族同士の付き合いはあるのだとか。
見合いではあったが、全くそんな事を知らされてなかった叔母は驚いた。
いつぞやの老看護婦さんは、この事を言われていたのかと。

結婚して時が過ぎ、息子も生まれ、そんな話も忘れかけていた頃。息子の小学校での遠足のとある日。
昼過ぎ、家事一通りを追えた叔母が寛いでいると、電話がなった。
電話は息子の通う小学校の教頭先生からで、息子が遠足先で高いところから落ち怪我をしたと。
続き遠足先の担任から、『一先ず山田君を病院へ連れて行きます』と、平身低頭の電話。
車の免許もなく、病院へ向かう足の無い叔母は、仕事先から旦那を呼び、車でお迎えに行く事に。
心配で焦る叔母、だがもう一つ不安なことがあった。
息子が連れて行かれた外科病院は、○○寺のある山の麓近くにあるのだ。
しかしそんな事は言ってられない。
そんないわれも知らない夫も大急ぎで車を出し、小一時間ほど離れた隣の市の外科病院へと車を急がせた。

焦りの為か終始無言の夫、田舎道を抜けて外科病院のある隣の市へ続く山道へ差し掛かった。
途中『↑○○寺』の看板。不安に駆られる叔母。
もしやこれは、いつかの老看護婦の言われた○○寺へ誘われているのではなかろうか、と。

山道を抜け隣の市へ差し掛かる頃、夫が終始無言でいることに不安を感じた叔母。
叔母「息子は大丈夫かしら?」
夫「ああ・・・」
叔母「あとどれくらい?」
夫「あと少しだ・・・」
話しかけても殆ど回答がない。
夫の横顔は青ざめて強張り、心ここにあらずという態。
いつもはとても気さくでとても優しい人なのに、どうしたのか・・・。

叔母が訝ってることを見抜くように、車は急にスピードを上げた。目を見開き真っ直ぐに前を見る夫。
「ねえ、どうしたの?ちょっとスピード出し過ぎじゃない?」と言うも返事がない。
おかしい。いつもは夫へ口出ししない叔母も、内心息子への想いと、○○寺への不安がせめぎ合い焦りだした。
車の先に『↑○○寺』の看板が再び。距離からしてあと10-20分も行けば○○寺へ着くだろう。
「ねえ、ちょっと、病院こっちの道でいいの?」
夫からの返事はない。もしかして夫は正気ではないのかしら・・・・・・。

「ねえ、ちょっと!」と夫の肩をゆする。「うるさい!」と跳ね除ける夫。
「ねえ、どうしたの?変よあなた?」
叔母を無視するように車を飛ばす夫。
「車を停めて!私はタクシーで行くわ!」
大きな声を出す叔母。
だが夫は、聞こえないように車を走らせる。

変だわ、おかしい。兎に角車を止めなければ。そして一刻も早く病院へ向かわねば。
ブレーキレバー?を引けばいいのかしら?
運転席へ手を伸ばす妻。
「何するんだ!」
夫が大声で妻の手を払いのける。
夫の大声でビクっと体を振るわせる叔母、そして夫の狂気を確信した。
スピードを増す車、目前に『右、○○寺、左、市街地』の看板。

「車を止めて!!」
叫ぶ叔母。
車は速度を緩めない。
夫は右にハンドルを切ろうと・・・寸前叔母は、ハンドルを掴んで思い切り左に切った。
ブレーキを踏む夫、車はスピンして分かれ道の角にギリギリ手前で止まった。
夫は目を見開いて、狂気の表情で叔母を睨む。そして叔母の首めがけて手を伸ばす。
身の危険を感じて車を降りようとする叔母。
シートベルトをはずそうとする手を掴まれ、強い力で引き寄せられた。

顔の狂気は凄みをまし、両肩を凄い力で掴まれた叔母。
ああ、矢張り○○寺へ近づくべきではなかった。
あの看護婦さんの言われた通りだったのか、と観念しかかった時、夫が「ごめんな」と一言。

次の瞬間、強烈な張り手が叔母の顔に飛んだ。続けざまに2-3発。
夫「おい!しっかりしろ!」
朦朧とする叔母。
「こ、殺される・・・助けて・・・」
夫「何言ってんだ!起きろ!お前正気か?」
意識が晴れてくる叔母。眼前には心配そうな夫の顔が。

「あなた、正気に戻ったの?」
夫「お前こそ!電話かけてきた時から様子が変だとは思ってたけど!どうしたんだ一体?
 お前は車を出して暫くしたら寝だしたんだぞ。
 暫くすると起きて、
 『息子の無事を祈願に○○寺へ行こう』だとか、
 『ここら辺は来たことがないから少し観光して行きたい』だとか言い出して、
 『何言ってるんだ。先ず息子の迎えが先だ』と言ったら怒り出して、
 今度は『車を止めろ』だとか、『タクシー拾って○○寺へ行く』だとか言い出して、運転の邪魔しだして!
 挙句、分かれ道のところで無理やり○○寺の方へハンドル切って!
 ブレーキが間に合わなければ俺たち死んでたぞ!!」

呆然とする叔母。今まで自覚してきたことと全く逆だ。
でもそう言われると、自分は車に乗った頃からの道すがらをあまり覚えていない。
兎に角、今は落ち着いて、急いで外科病院へ向かおう。息子が待っている、と。

病院への道すがら、叔母は夫へ老看護婦の言葉を教えた。
夫は驚き、妙な話もあるものだと訝ったが、それ以上は取り合わなかった。

息子は遠足で行った公園にある城跡の石垣から落ち、頭を10針近く縫う怪我だったが、幸い後遺症もなく、今でも元気。
城跡は、○○寺へ奉られる武将のお城だったことが後で分かった。
最初の学校側からの連絡は担任の先生だけからで、教頭先生から叔母への電話はかけられなかったことも。

叔母の家も含めうちの一家は、未だに○○寺へ行った事がない。

 - 祟り・のろい

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