すこし開けた場所
地元が山に囲まれたところなので、子供の頃探検したりして遊んでいた。
ある日、友人数人と山の奥まで探検してみようと、林道はずれて奥へ奥へ進んだ。
迷わないように、学校からかっぱらったでかいスズランテープ引っ張りながらずんずん歩いた。
当然平坦な道ではないので、さながら正に探検隊みたいな気分。このままどこへ出るかちょっとどきどきわくわくだった。
ちょっとした丘みたいになった所を登りきったところで、すこし開けた場所に出た。
ちょっとした原っぱといった感じ。向こうに大きな岩が見える。
とりあえず休憩と、水飲んでお菓子食べていたら変なものを見つけた。
玩具だ。当時4年生だった自分らよりも幼い子供が使う感じの玩具。
皆で探索すると、ちらほらミニカーとかゴム人形が落ちてた。
その時点で、何でこんな山奥の獣道すらないような場所に?という恐怖があった。
突然友人Tが「おい!」と皆に声をかけた。
彼はなにかを指差しており、その先には粘土層をくり貫いて作った祭壇?らしきものがあった。
そしてその中に遺影があったのだ。
皆一様に息を呑む。
その遺影は女の子のだと思われた。時間が経っているためか汚れて、遠めには分からない。
ただ、一目で遺影と分かる装飾がしてあった。
今まで穏やかだった周りの木々が一気にイメージを変えた。
もう今にも山の奥の暗がりから、なにか覗いてたり飛び出したりしそう。
走って逃げ出したい気分を抑え、皆足早にそこを離れた。
下山するまで大分生きた心地しなかった。
それから、その山を林道外れて奥に行くようなことはしなくなった。
大体どういけばそこに着くか頭にはあるが、もう絶対行く気はしない。
恐くないかもしれんが、自分らには洒落にならなかった山でのお話。
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