号泣必至!!超泣ける話200話超デラックス

号泣必至!!超泣ける話200話超デラックス

*

同僚の彼

   

4年ほど前に本社より地方支店に左遷同様で転勤してきた同僚の彼。

事務の女の子に手が早いだの、上司に対して生意気で飛ばされて等、前評判はけして良くありませんでした。

でもいざ着任して同僚として付き合ってみると180度印象が変わりました。

自分を頼ってくる人間には親身になって向き合い、そうでない人に対しても礼節を忘れない、とでもいうのでしょうか、上司にも言うべきことはガツンと言うし。

何より仕事に対して誠実で、慣れない土地での営業成績も上々でした。

それに全国色々な支店の人が
「○○ちゃん、ちゃんと仕事してる(笑)?」だの
「○○さんに今度のスキーツアー参加して下さい(はあと)、と伝えて置いて下さい」とか。

連絡が途絶えることもなく、私たち女の子の間でも
「彼って人気者だね(笑)」と株高騰でした。

そして転勤後半年経つころには彼に憧れの様な感情を抱く様になりました。

そんなある日の夕方。彼がいつになく緊張した面持ちで営業より帰社してきました。

その日は支店の飲み会の日で、時間も差し迫っていたので、
「早く用意して行こうよ」
と声を掛けたのですが、
「ゴメン。お客さんから電話入るんで先盛り上げといて~」
との返答。

私はいったん会場に向かったのですが、すぐに会費をまとめた封筒を忘れたことに気付き、会社に戻りました。

遠巻きに彼は電話中でしたが

「ありがとうございました!全身全霊でやらせていただきます」
と電話を切り、私の気配を感じることなく号泣し始めました。

「やった!遂にやった!」
とか泣き笑いながら。

私はなんとなく顔を合わせない様に会場に戻ったのですが、どうしても気になったので、2次会になってようやく現れた彼に
「何かいいことあったの?」
と聞きました。

彼は一瞬驚き、
「なんや見てたん?実は前から狙ってた仕事が決まったんよ。でも小さい仕事だから誰にも言わんといて」
と少しはにかんだ表情で答えました。

営業成績が優秀な彼でもそんなことあるんだな~と思いつつも、その日は自分のことのように嬉しく感じ、その後彼を3次会までつれ回すことに成功し(笑)ホロ酔い気分で帰宅しました。

その日初めて彼に恋していることに気付きました。

後になって人づてに聞いたのですが、その仕事(企画)は彼が本社にいる時に進めていた企画だったそうです。

周囲に理解者は多く受注間際までいったのですが、突然上司の猛反対に合い頓挫。

それまで上司との関係は極めて良好だったそうですが、どうしても納得できなかったらしく、クビ覚悟の大喧嘩となり、結果地方支店に左遷が異動の真相でした。

その後は順調な日々でした。

前述のとおり最初は小さな仕事だったその企画も、その後の彼の営業努力、全国の支店の仲間の協力、何より本社勤務当時の上司の強力な後ろ盾もあり全社的なプロジェクトに発展するに至りました。

また本社当時の上司はけして彼が憎くて左遷したのではありませんでした。

ただ経験も足りないのに過度に熱くなっている彼に「少し冷静になれ」の意味もこめ企画を保留したようでした。

しかし左遷後も企画を捨てずに採算性などをを再検討し結果を出した彼に感じいるところがあったのでしょう。

私もその後は彼のプロジェクト専任の事務として、彼の仕事を末端からヘルプできるようになりました。

私生活でも何となく彼の傍に置いてもらえる様にはなったのかな~、告白しようとするとその都度かわされはしていたのですが(笑)

少しづつ距離が縮まっていたと思います。彼がこちらに来て2回目のクリスマスイブは一緒に過ごしました。

でも順調だったのはそこまででした。

プロジェクトも軌道に乗り始めたある日彼は突然倒れました。

入院中は本人の希望で一度も逢うことができませんでした。

私はそのことが残念でしたが、かといって面会してもどう声を掛けられるか自信もありませんでした。

病状が末期的なことは彼の御家族から聞かされていましたので。

そしてその後出社することなく入院して2ヶ月後この世を去りました。

あるいは本人は以前から気付いてはいたのでしょう。

でもけして打ち明けたくはなかったのでしょう。それを思うと今でもやりきれない気分になります。

そういえば倒れる数ヶ月前に顔色が悪そうだった彼に
「体調悪いの?気をつけてよ。」
て聞いたことがありました。

「いや。少し疲れているだけやけど(苦笑」
と答えましたが、今から思うと少し複雑な表情をしていました。

彼が亡くなってから、私は感情を表に出せなくなりました。

お葬式の時も周囲すすり泣く声が漏れる中、涙一滴出てこなかった。

あんなに好きだったのに、多分私を一番信頼してくれてたはずなのに、大事なことは相談せずに一人で逝ってしまった。

そのことに悔しさを感じたからかもしれない。一番つらかったのは他ならない彼なのに。

お葬式が終わりしばらくしたある日曜日彼のお母様が私を訪ねてきました。

そしてまず手紙を、その後少し迷われましたが彼の日記を渡されました。

「お見舞い断わったことを許してね」
と頭を下げ帰られました。手紙には

「××へ。ゴメン。

 俺ダメかもしれんわ。

 言いたかったし言うべきだったろうけど、でもかっこ悪いところ見せたくなかったんよ。

 わかってな。

 愛してます。

 早くいい男見つけてな。」

と書かれていました。

見覚えのあるはっきりとした字でした。

日記は書き殴った字体でしたが
「痛い。痛い。なんで」
「早く治して××を抱きたい。」

そして古い日記には
「××に泣いてるところ見られてしまった。カッコ悪~、でもまぁええか。」

そこからは読めませんでした。涙が止まりませんでした。

ボールペンで書かれたただでさえ乱暴な字体で書かれた彼の日記は私の涙で滲みボロボロになりましたが、私はそれから手を離すことはできませんでした。

その日はいつ眠ったのか記憶がありません。

私はようやく彼を失ったことを実感しました。

今日彼と同じ歳になりました。

久々に彼の手紙や日記を読み返してみて、やっぱりこのまま塞ぎこんでてはいけないと思いました。

自分勝手かもしれないけど、彼もこんな無様な私を望んでいないでしょう。多分怒っていると思う。

今は相手もいないし、これから見つかる保証もないけど(苦笑)前に向いていかなくっちゃ。

スレ違いホントごめんなさい。誰かに決意表明したかったんです。

今日から頑張ります。

 - 仕事での泣ける話

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