号泣必至!!超泣ける話200話超デラックス

号泣必至!!超泣ける話200話超デラックス

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京都で一人旅

   

私が京都で一人旅をしていた時でした。
離婚という大仕事を終え、自分自信の気持ちもやっと落ち着いた頃でした。
でもやっぱり、傷が癒える事はなくて、バイトしてためたお金を握りしめて、大原へいったんです。
最初は、バスにのっていたんだけど、バスの中でどうしても涙を我慢できなくなりそうになって、途中でバスをおりました。
大原は、別れた主人と一緒に行きたいねっていっていた所だったんです。
主人とは、一度も大原を訪れる事はありませんでしたが、一緒にいきたかった、
一緒にこの景色を見たかったって、未練ばかりで恥ずかしいくらいですが、そんな事を思って、
観光客が降りるはずもないようなバス停で降りてしまったんです。
しばらく泣きながら歩いていました。
幸い誰もいなかったので、結構派手に泣いていたように思います。
その時、横を通り過ぎたバイクのお兄さん3人が、一度通り過ぎたんですが、また戻ってきました。
泣いている私を、見たんでしょう。
一瞬、女一人でこんな所に降りてしまった事を後悔しました。
絡まれたりしたらイヤだなって。もしなにかあっても助けなんか呼べないかなって。
でも、そのお兄さん達は、「どうしたの?道に迷ったの?」と心配してくれました。
私が、大丈夫です、といって、先にいこうとしましたが、泣きながら歩くのは危ないよ、と。
泣いているのが恥ずかしかったのと、知らない人だという事で、私は先を急ごうとしました。
その時、一人のお兄さんがいいました。
「君がどんな事があって泣いてるのかわからないけど、
泣くのが悪い事や恥ずかしい事だと思うなら、オレもここで泣くよ」と。
お兄さんは、とても真剣な目でいっていました。
例えば、冗談や嘘だったりしたら、どこかしらそんな雰囲気がするものではないでしょうか。
でも、その人は本当に真剣に、私が呆然としていたら、泣き始めてしまったのです。
見ず知らずの女一人の観光者に対して、この人はなにを熱くなってるんだろう?って、
冷静な時なら思ったかも知れません。でもその時は、感動すら覚えました。
ぼろぼろ泣きはじめる私を、彼等はずっと黙ってみていてくれました。
そして、何で泣いているのかも聞かず、どこからきただとか、そんな事も聞かず、一緒についていてくれました。
ひとしきり泣いて、スッキリした私が顔をあげると、お兄さんたちは、もう大丈夫だね?といって、バイクに乗ってまた山道を登っていきました。
降りた次のバス停まで、私を見送ってくれました。
紳士だなぁ、と思いました。女ひとり、手篭めにしようと思えばできるシチュエーションです。
しかも、証拠も残らない。男なら、誰でもそういう事を考えているものだと思っていましたし、そういう話だってたくさん聞きます。
それなのに、どうしてあの人たちは、あんなにいい人だったんでしょう。
一緒に泣いてくれたお兄さんは、何かあったんでしょうか。
今は、いい想い出の中で、それが気掛かりな事です。
あの時のお兄さんたち、私は元気になりました。
泣いてもいいっていってくれてありがとう、私はあの時泣けたから、今元気に笑う事ができるような気がします。
今度は私の番です。
旅に出たら、きっといろんな想い出を捨てに来ている人もいるでしょう。そして、泣きたい気持ちを抱えている人も。
そんな時、私はきっとバイクを降りて、一緒に泣いてあげられるような人間になりたいと思います。
ありがとうございました。いつまでも忘れません。

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