号泣必至!!超泣ける話200話超デラックス

号泣必至!!超泣ける話200話超デラックス

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ロールプレイングゲーム

   

泣けるというか、俺が泣いたゲーム。

RPGツクールのプレステ版で、
小学生の弟に遊んでもらおうと思って、
家族ネタで弟が勇者になって母親を救い出す。
っていうRPGを作った。

弟は小学生、父親は離婚していない家庭だったんで、
重いテーマは抜きに、我が家をファンタジー世界に移し変えて、
ホノボノした感じの小学生にうけるようなRPGを作ってた。

形になったところで弟にプレイしてもらったら、
かなりウケが良かったんで、俺も必死で、時間を忘れて作ってた。
気がつけば、夏休みだったのが秋になっているほど夢中になってた。

そんなある日、母が突然入院。俺が高校2年の秋だった。
脳卒中で母は帰らぬ人になった。

俺達2人は祖父母の家で暮らすことになった。
祖父母の家で俺はゲームはほとんどしなかった。
母親を救い出すRPG,完成せずにメモリーカードの中で、
母はまだ魔王の城の中で閉じ込められたまんまだった。

あれから、俺は就職し、弟は中学へ。

先日、休暇をもらって祖父母の家を尋ねると、
普段は棚の中で眠ってるプレステがテレビの前に…
CDトレイの中には、RPGツクール3が…
もしやと思い、プレイ開始。

とても懐かしかった。

あのとき、俺が作ったRPGだ。
弟は勇者、俺が戦士、祖父母が魔法使いと、僧侶。
母を助けに旅だった4人。

たびたび物語りを盛り上げるために出てくる母。
笑いをとるためか、やけに生々しくゲームの中で、
母は語り、ギャグをかまし、そして笑った。
母の口調は関西弁で、ファンタジーには合わないが、
まぎれもなく、母はゲームの中に存在していた。

気がつけば、懐かしさとせつなさで涙が出ていた。
作りかけの物語が、終わりの無い終わりを迎える。
母を助け出すことなく、物語は終わってしまうと思っていた。

しかし、物語に続きが…

母を救い出し、幸せに暮らす僕達5人。
稚拙な作りでバグやらバランスやらはめちゃくちゃだったが、
頑張って作ってあった。俺達は母親を救い出した。

そして、エンディング。

驚きや、懐かしさや、切なさみたいなのが、
一緒になって、気がつけば僕は声を出して泣いていた。

その後、家に帰ってきた弟と、少し昔の話をした。
小学生だった弟、暇な時は祖父母の家でゲームをこっそりしていたらしい。
そして、俺の作ったRPGで母を捜していたそうだ。
しかし、母は帰ってこない。

続きを作りたかったんだろう。
まだ彼は母を捜していたんだろう。

さぞ、寂しかったろうな、とつくづく思った。
俺も寂しかったが、小さかった弟はもっと寂しかったはずだ。

酒を飲んでいたせいもあり、弟とそんな話をしながら、
俺は弟の前で産まれて始めて泣いてしまった

弟は恥ずかしがって、RPGツクールで続きを作ったことについては
あまり話したがらなかったが、俺は嬉しかった。

弟はこれから、高校へと上がり、社会へと出てゆく。
両親がいないという大きなハンデがある。
ロールプレイングゲームのようにうまく行かない時もあると思う。
しかし、俺は彼の良き仲間として、これからもずっと、
できる限り、彼のこれからの冒険の手助けをしてやろうと、誓った。

ゲームの中で俺はRPGツクールが一番印象深い。
身内ネタを作ったことのあるやつは引っ張り出してプレイしてみるといい。
昔のことが思い出せたりして、なかなか面白いかもしれないぞ。

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